継承日本語に政策は必要か?
本エントンリーは、先日読んだ論文からちょっと疑問に感じたことについて述べたものです。長くなりましたがご容赦を。
前回ご紹介した論文は、韓国における日本語あるいは日本における韓国語の継承に関する研究でした(エントリーはこちら)。
韓国の事例から
ちょっと驚いたことですが、韓国には「多文化家族支援法」という国際結婚家庭を支援するような法律が制定されているのだそうです。そこでは、多文化家族とは「韓国国民と結婚移民者や婚姻帰化者の婚姻から構成される家族」と定義され、無料韓国語講座の提供や、同じ国の出身者の交流機会を提供することなどを具体的に行っているとのことです。その目的は、こうした移民女性とその子供をサポートすることですが、内容的には同化主義的な政策と言われ、この点、批判も出てはいるようです。つまるところ、それは外国人母の母語継承(例えば、日本人母にとっての日本語など)は視野に入っていないということだと。
しかし、日本人母がこうした機会を利用する場合、日本語継承をサポートするという想定外の効果が生じるようです。つまり、公的機関の支援による日本人交流会のようなものに参加することで、現地日本人コミュニティーとのコンタクトを助け、そこでの出会いを通して日本語継承サークル活動参加へと発展することに役立っているようです。逆に言えば、これは現地社会との間に壁を作ってしまうことにもなってしまうので、政策効果としてはネガティブな副作用となってしまっている感じですが。