第四言語としての日本語。その傍にある継承日本語。

ちょっと間隔が空いてしまいました。継承日本語に関していろいろぐだぐだと書いてきましたが、そろそろネタ切れかな・・・という感じが辛いですw。

本日は若干継承語の問題とはポイントがずれますが、ベルギーの外国語教育システムの中で日本語、さらには継承日本語のポジションを考えてみたいと思います。

 

私が夏休みの間、補習校に子供を通わせていない日本人の親御さんたちから色々と話を聞かせてもらい、深く考えさせられたことがあります。ズバリ、現地教育システムの中での日本語の位置付けです。

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ベルギーは連邦国家なので、教育政策はオランダ語地域(左図緑の地域)・フランス語地域(左図青の地域)・ドイツ語地域(左図黄色の地域)のそれぞれが個別に実施します。また、ブリュッセルは蘭仏二言語地域(左図ボンダイブルーの地域)として、オランダ語系の学校・フランス語系の学校が混在する、ちょっと独特な地域となっています。あと、言語境界線に隣接している一部地域も同じです。ま、教育政策の基本ラインはあまり変わりないようになっていますが。

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継承を決定づけるもう一つの、あるいは最大の要因?

既にこのブログでも何度となく触れた気がしますが、継承語への働きかけを支える要因としては大きく1)家庭的要因、2)社会的要因、3)日本語学習が持つ要因が主なものとして指摘されています(参考エントリー)。これは経験的にも理解できるところであろうと思いますが、継承語教育の主要な現場が家庭ということを考えた場合、それに関わるアクターの性格的な要因が意外と無視できない影響力を持つのではないかと最近感じるようになりました。

 

例えば、子供に何かを教えるのが好きで、比較的マメな性格の人であれば、教えたい内容を子供が受け入れてくれさえすれば学習は結構な効果を上げるのではないかと思います。

逆に、「そんなの面倒くせえ」や「私には無理」と考えたり、あるいは子供が学びたがらない場合、自分や子供に対する何らかの「強制力」を発動しない限り、成果を手にするのは困難なのではないかと思います。

補習校に子供を通わせていた時、毎週出される宿題というのがまさにこの「強制力」として機能していたことを改めて感じてしまいます。とにかく親の方が随分と必死のパッチでしたからw。

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家庭版JLPT対策講座

次の日曜日はいよいよ長男の日本語能力試験 JLPTです。巷ではその試験合格を目指して家庭教師を雇ったりする人もいるそうですが、うちは全くボランティア・ベースでやってます。ちょっと鼻血が出そうですが。

 

今回、彼が挑戦するのは一番下のレベルのN5です。この一ヶ月、公式問題集と『合格できる日本語能力試験N4・N5』という問題集を使い、試験に慣れるための訓練をしてきました。なにせ、こういう日本独特の試験風景なんていうのを経験したことのない輩だけに、何をやらかすかわからないので・・・。

ちなみに、公式問題集は内容そっくりJLPTのサイトにあるので買う必要はないかと。また、『合格できる日本語能力試験N4・N5』は問題数も多く、レベルもちょっと高めに設定してあることで、とても勉強になりました。

 

とりあえず、一気にというわけではないですが、公式問題集を使い、時間を測りながら模擬試験を実施しました。その時のポイントは次の通り、

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CEFRと継承日本語

ヨーロッパ言語共通参照枠 Common European Framework of Reference for Languages (=CEFR)』というのが、先日のベルギー日本語教師会勉強会でも何度となく出てきました。自分も10年ほど前から幾度となく耳にしていましたが、特に関心も持っていませんでした。日本語学習過程がヨーロッパ言語のそれとはかなり異質であり、ヨーロッパ言語の枠組みで作られたCEFRというものに対して、ある意味懐疑的であったからです。

しかし昨今、海外の日本語教育の現場あるいは日本の外国語教育の現場でもかなりホットなトピックであり、そこを素通りすると研究の不備を指摘されかねないこと。また、到達目標や評価方法など、抽象的な枠組みを模索中であることもあって、強引に継承日本語の中に放り込んでみることにしました。

今回、その中身を吟味するにあたって改めてネットを徘徊してみましたが、結構な数の研究報告が既に出ていますね。びっくりです。

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ちょっともやもやしていたもの

我が子に日本語を教えるにあたって、それが『継承語』という範疇に含まれるらしいと気づいたのはかれこれ10年ほど前のことです。

そのことは、このブログの前身である育児ブログでも触れてあります。それ以来、随分とこの言葉に人が集まるようになったもんだと、ある種の感慨さえ持つ今日この頃です。

 

先日、ベルギー日本語教師会という会の20周年記念大会があり、そこでも継承語をテーマにグループで小さな話し合いを持つことができました。ありがたいことです。

 

以前は全く孤独に、一人継承日本語について思いを巡らしてはいるだけでしたが、小さな集まりででも研究発表をし、ネットで関連文献をかき集め、また日本で活躍されている先生方とコンタクトを取って論文を送っていただくなど、細々と手を広げてきました。さらに、他所様のお子さんを預かって授業をしたり、研究のために保護者の方々にインタビューをするなど、継承日本語に関して結構とりとめのない思索をしてきたところですが・・・。

 

特に、塾として継承日本語を教えるようになってから感じていたことです。

 

ほんと、継承日本語ってったって、一体何を教えればいいの?

 

いわゆる、到達目標の不在っていうやつです。

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継承日本語に政策は必要か?

本エントンリーは、先日読んだ論文からちょっと疑問に感じたことについて述べたものです。長くなりましたがご容赦を。

 

前回ご紹介した論文は、韓国における日本語あるいは日本における韓国語の継承に関する研究でした(エントリーはこちら)。

 

韓国の事例から

ちょっと驚いたことですが、韓国には「多文化家族支援法」という国際結婚家庭を支援するような法律が制定されているのだそうです。そこでは、多文化家族とは「韓国国民と結婚移民者や婚姻帰化者の婚姻から構成される家族」と定義され、無料韓国語講座の提供や、同じ国の出身者の交流機会を提供することなどを具体的に行っているとのことです。その目的は、こうした移民女性とその子供をサポートすることですが、内容的には同化主義的な政策と言われ、この点、批判も出てはいるようです。つまるところ、それは外国人母の母語継承(例えば、日本人母にとっての日本語など)は視野に入っていないということだと。

しかし、日本人母がこうした機会を利用する場合、日本語継承をサポートするという想定外の効果が生じるようです。つまり、公的機関の支援による日本人交流会のようなものに参加することで、現地日本人コミュニティーとのコンタクトを助け、そこでの出会いを通して日本語継承サークル活動参加へと発展することに役立っているようです。逆に言えば、これは現地社会との間に壁を作ってしまうことにもなってしまうので、政策効果としてはネガティブな副作用となってしまっている感じですが。

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日本語塾第二幕がスタート

論文執筆が忙しかった9月は日本語塾の方は休講とさせていただきました。本当のところは運営自体が結構な負担になっていたことで、特に大盛況というわけでもない田舎塾をひっそり終了しようかなと考えていたところです。ただ、「どんな形ででも継続をすることが将来につながる」という保護者の要望(それは私自身の継承語教育における信条でもあります)もあり、結局、「あまり負担にならない形で」ということで継続決定となりました。9月を充電期間とし、リスタートを10月からと定めて始まった日本語塾第二幕の様子です。

 

このリスタートを機会に、授業のやり方自体を大幅に見直すことにしました。これまでのやり方は負担の割には効果があったとは思えなかったところです。ということで、再起動に当たってのキーワードをズバリ

 

 繋ぐ・繋がる

 

ということにしてみました。

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