ブラックスクールという現実
今朝の無料新聞記事から。今日はフランス語版のみの記事です。
原文タイトルは”École cherche enfants «blancs»“とあり、日本語にすれば「学校は『白人の』子供を探している」という、ちょっとまあストレートすぎるものでもあります。
今、確認したところ、リンクを貼ったウェブ版(”Paris Match”というフランスの雑誌ですか)の方が記事はもうちょっと長いですね。
新聞では後半部分がガッツリ削られたという感じですが、今読んでみたところ、その部分にこそ問題の本質が見え隠れしているような気がしますが・・・。
とりあえず、新聞が掲載していた部分の要点は以下のとおりです。記事はフランス語ですが、焦点が当てられているのはオランダの学校問題です。
- アムステルダムの移民が多く住む小学校では生粋のオランダ人の児童が少なくなっている。
- それに危機感を抱いたある小学校が、5月22日の金曜日にもっと白人児童が来るようにというデモをした。
- 近年、移民児童の割合は90%になり、児童数も減少が続いている。
- こうした学校は「ブラックスクール」と呼ばれるようになる。(ブラックスクールとは日本語で言う「問題校」です)
次に、ウェブ版にあった文章から、二人のご近所さんの見立てが紹介されています。
- 近所のJoanさん(81歳女性):これら「ブラックスクール」と呼ばれる学校を避けるオランダ人白人両親が恥ずかしい。これはレイシズムであり、今日、オランダにおいてそれは深刻になってきている。
- 近所の花屋のWimさん(年齢不詳、多分男性):問題は単純。単にこの近所の子供が減ったということ。レイシズムじゃない。
見事に180度反対方向を向いたご近所さんの意見です。どちらが真実に近いのでしょうか?
結論から言うと、
はっきりしたことは分からない!
でしょうねぇ、やはり。
無責任ですが、別にこの問題に関しての専門家ではないので勘弁してください。ただ、Wimさんは問題を単純化しすぎているように思いますし、Joanさんはレイシズムの問題と教育問題の線引きを曖昧にしているように思います。
例えば仮に、こうしたブラックスクールに通う生徒の成績が劇的に向上したとするなら、恐らく肌の色にかかわらず、自ずと児童は集まるのではないでしょうか。「移民が多いからイヤ」というより、「教育面で不安があるからイヤ。(たまたまそこに移民が多かった)」のだと思います。(どうしてそこに移民が多く集まるのかについてはまた理由がありますが、ここでは割愛します)そういう意味で、単純に「レイシズムの問題だ!ふんがー!」とは言えないと思います。
一方で、「オランダは寛容性の国だ」(これ、オランダで実際よく耳にしました)とばかりに、なんでもかんでも「レイシズムに非ず」と楽観的に〆てしまうのでは、本当に見なければならないものも見えなくなるのではないかと危惧します。
ブラックスクール問題は、教育問題に移民問題の影が覆いかぶさっているだけに、取り扱いには十分な注意が必要だと思います。が、「ブラック=悪玉、ホワイト=善玉」という一般認識が一番差別的だということはいつになったら問題視されるんでしょうか。