第四言語としての日本語。その傍にある継承日本語。

ちょっと間隔が空いてしまいました。継承日本語に関していろいろぐだぐだと書いてきましたが、そろそろネタ切れかな・・・という感じが辛いですw。

本日は若干継承語の問題とはポイントがずれますが、ベルギーの外国語教育システムの中で日本語、さらには継承日本語のポジションを考えてみたいと思います。

 

私が夏休みの間、補習校に子供を通わせていない日本人の親御さんたちから色々と話を聞かせてもらい、深く考えさせられたことがあります。ズバリ、現地教育システムの中での日本語の位置付けです。

Taalgebieden_in_Belgie.svg
ベルギーは連邦国家なので、教育政策はオランダ語地域(左図緑の地域)・フランス語地域(左図青の地域)・ドイツ語地域(左図黄色の地域)のそれぞれが個別に実施します。また、ブリュッセルは蘭仏二言語地域(左図ボンダイブルーの地域)として、オランダ語系の学校・フランス語系の学校が混在する、ちょっと独特な地域となっています。あと、言語境界線に隣接している一部地域も同じです。ま、教育政策の基本ラインはあまり変わりないようになっていますが。

 

言語教育に関しては、オランダ語地域の場合、まず地域言語としてのオランダ語教育(=第一言語)が小学校から始まり、五年生から外国語としてのフランス語(=第二言語)、中等学校二年生からの第二外国語としての英語(=第三言語)と来て、中等学校五年生(日本の高校二年生相当)からようやっと第三外国語(=第四言語)としてイタリア語・スペイン語と並んでアラビア語・トルコ語・中国語・日本語などを学校は教えていいことになります(ちなみに、ベルギー全体で初等教育以前に言葉に慣れるという広い意味での言語教育のようなものは始まりますが、ここでは割愛します)。

フランス語地域ですが、地域言語としてのフランス語に続き、小学校からの第一外国語教育はオランダ語・英語・ドイツ語から学校が選択、中等学校1年次に再び上記三つの中から選択(初等教育時代の履修言語は考慮されず、実質的にここではまだ第一外国語扱いです)、同3年次に第二外国語(蘭・英・独・伊・西・露語)・第三外国語(さらにアラビア語が加わる)を選択することができるようになります。

蘭仏二言語地域のブリュッセルにあるオランダ語系・フランス語系の小学校(これらは別個の地域政府の権限下にあります)ではそれぞれフランス語・オランダ語が第一外国語として義務になります。上記の一部言語境界線隣接地域もそうです。他の言語地域との違いとしては、オランダ語系小学校ではフランス語開始の学年が若干早いこと、フランス語系小学校ではオランダ語が義務であることです。

また、ドイツ語地域ですが・・・人口比0.7%程度であり、そこに継承日本語の問題があるのかどうかも未確認ですので、現時点では省略させていただきます。何かわかればこの部分は後日、加筆・修正させていただきます。

 

さて以上のように、ベルギーでは地域言語・公用語としてのオランダ語・フランス語・ドイツ語に続いて国際語である英語の学習が教育カリキュラムに組み込まれています(フランス語地域の場合、英語は義務ではない)。つまるところ、日本語がベルギーの公教育の中に乗っかってくる順番はオランダ地域で4番目以後、フランス語・ドイツ語地域で3番目以後ということになるわけです。オランダ語地域では日本語は学校が教えることが可能な外国語として公的な地位を認められていますが(他には、アラビア語・トルコ語・中国語・ヒンディー語・ポルトガル語も認められています)、2017年現在、日本語を始め、これらの第四外国語が履修できる中等学校はまだ把握できていません。

 

私が日本語継承に関して話を伺った方々は、概ねこのような、ちょっと外国語教育がヘビーなシステムを念頭に置いて日本語のポジションを考えていたところがあります。つまり、日本語を継承させる云々の前に、まず公的システムに則って義務とされている複数の外国語(オランダ語地域で二つ、フランス語地域で一つ)の習得を目指す。そこを越えて初めて、もし本人が望むならという前提で、日本語が視野に入るというような立場のようでした。もちろん、そこには「そうなってくれると嬉しい」というみなさんの思いは感じられました。

 

 彼らは日本人である前にヨーロピアンです。

 

こんな言葉がズシリと胸に、脳裏に刻まれているようです。

 

残念ながら、ベルギーの中等教育システムで想定されている日本語とは外国人のための日本語で、既にご紹介したように、現在、それすらまだ教えられている状況ではありません。どこかの成人学校で、学校外のシステムで学ぶことができるだけです。これが継承日本語となると、まだ完全に私的な領域に押し込められているような状況です。この点、他の国でも状況は似たようなものだと思いますが、それでも、スイスの多文化政策のように、継承日本語教育を通じて獲得した日本語能力を現地校での成績の中で評価してもらえるなら日本語継承の後押しになることもあり得るんでしょうが、まだまだそれは特殊な例にすぎません。

現地の外国語教育システムを通して見た場合、継承日本語はその傍にポツンと落ちているような存在です。そうした状況をも理解した上で日本語継承の問題を考えるのが大切なんではないかと思う次第です。

 

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