ベルギーの中学生生活 それでも格差は生まれるようで

突然ですが、娘が身を置くベルギーの中等教育制度について軽く触れておこうかと思います。細かいことを書いても混乱を招くだけだと思いますので、日本の教育制度との違いを軸に個人的に気付いたことをお話ししてみます。

 

日本のいわゆる中等教育(小学校卒業後から大学入学まで)制度とベルギーのそれとの一番の違いとしては、義務教育年齢が18歳までである点が挙げられます。日本より三年長いというわけです。

そしてそのことと関連して、中等教育は義務として六年間設けられており、日本で言うところの中高一貫教育という形を取っています。つまるところ、高校入試はないということです。もちろん、中学入試もありません。どこの中学に入れるかは自治体によって方法が違いますが、我が家のある町ではコンピューターによるくじ引きでした。これについては詳細は以前の記事にあります。

また、義務教育終了後、大学に進学したい場合も大学入試というものはありません。中学・高校時代の成績と修了したコースに照らし合わせ、入学要件をクリアしていれば基本的に自由に入学先を選べます。

 

制度的にざっくりと言える違いとしては以上の(1)義務教育は18歳まで、(2)六年の中高一貫義務教育、(3)大学入試はない、の三つになるでしょう。ただし、日本のような学校間の成績格差があるか否やということになれば、入試のような歴然とした選抜制度がないにもかかわらず「何となくある」という感じがします。

日本でも高校が普通科・商業科・工業科などと分かれているように、ベルギーの中等教育も一般中等教育、技術中等教育、職業中等教育の三つに分かれています。当然、勉強の苦手な子供は後二者を選択するようです。大学に進学するには一般中等教育を修了する必要があり、技術中等教育は特別科目を履修すれば大学進学が認められています。勉強についていけなくなった生徒は一般→技術→職業教育という風にコース変更してゆきますが、ズバリ「ドロップアウト」に相当する言葉を使います。

 

さらに、一般中等教育の中でもコース分けがあり、ラテン語や古典ギリシア語を履修するコースに成績上位者が集まります。ラテン語コース以外には文系では現代語コースや人文コース、経済コースなどがあり、数学・物理・化学といった教科の割合に応じた理系コースもあります。そして、ここでも学年が上がるにつれて勉強についていけなくなった生徒はラテン語コースを去ってゆきます。最終的にラテン語コース(+数学であれ、+生物であれ)を修了した子供が「一番勉強ができる子」として社会的に認知されるようです。余談になりますが、実際に大学での及第率(ベルギーでは大学に入るのは自由ですが、進級は日本ほど簡単ではないです)は高校時代にラテン語を履修した学生の方が、そうでない学生よりも高いとの結果が出ています。

その他に、一般的には「ない」と考えられているようですが、学校間の格差も私はあるように思っています。「入試」というものが存在しないことから、建前上は行きたい学校に行きたい人が行けるという制度になっていますが、同じ普通中等教育学校を見てみても、ベルギー人の高学歴で社会的地位のある親を持つ家庭の子供が選択する学校と移民の子弟が選択する学校は同じではないです。当然前者の方が「上」に見られます。これはいわゆる「棲み分け」というやつですが、この点に関して、教育省は学校間格差を示すデータを公開していません。逆に考えれば、建前上はないとされる学校間格差が実際にはあるんだなと疑わせることになっています。

 

日本では久しく「入試の弊害」というものが議論されてきましたが、そんな選抜制度がなくても、人はどこかで学歴という基準で格差を作り出し、棲み分けの中で自分たちの居場所へ流れてゆくものなのかもしれません。

 

 

さて、娘は現在、生徒のほとんどが白人のベルギー人である地元の伝統校に在籍し、ラテン語コースを取っています。結構勉強が大変です。「日本語なんてやってる場合ではないぞ!どうしよう?」というライフコースの転換点にさしかかっているのだと思います。さて、本当にどうしたものでしょうか?

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